垣根の垣根の百物語

PSP俺屍Rの自分の一族とか某inb氏の一族の話とか ネタバレあります。

おおえやまいご ~1020年 十二月~

とうとうやってきました、十二月。今月は大江山に行きます。超怖い。まあでも紅こべだったら普通に倒せる感じだし、自重しながら進んでいけば特に問題はない、はず。

 

菊梧の健康度はどんどん下がります。今月まで、ということなんですかね……。一族それぞれの心には、今月朱点を倒せれば菊梧を助けられるという思いはあると思います。

 

そのためにも、ベストメンバーで臨まなければならない。そして、いつも通りでいなければならない。だからこそ、今月は「予定通り」菊梧には芹香の訓練をつけてもらいます。その代わりにすすきは自習。そして先月と同じく、出陣メンバーは穣、洞助、楓、翠蓮で行きます。翠蓮は岩清水の槌を装備したことですし、なかなかの火力が期待できそうです。

とりあえずありったけの回復を袋に詰めました。いらなくなったら捨てればいい。死ぬよりまし。

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ここめっちゃ緊張してました。初めての大江山。僕にとっても、真垣家にとっても、穣にとっても意味が重たかったと思います。穣は我が強い性格ではないし、「俺が大江山に行く」「俺が朱点を倒す」って感じの当主じゃないんですよね。みんなを尊重しながら、一歩一歩出来ることをやっていくっていう。それに、当主としての彼には常に、年上で性格が似ていて尊敬できる菊梧がいました。一層自分を出す意味がなかったともいえると思います。

でも、穣は今月大江山に上ります。菊梧のいない討伐隊で。先月の戦果が彼に自覚を与えたのかもしれません。そうでなくても彼もだいぶ成長しましたし、既にそんな自覚はあったのかもしれないけど……。それでも僕は穣が大江山への先陣を切ることに驚嘆と、喜びを禁じ得ないです。

 

いざ、大江山へ!!!!!!

知ってたけど、ここいきなり紅こべいるんですよね。単純に怖い。悪羅大将まで叩ける力はあると思うんですけど、どっちを倒すにもそこそこ時間がかかっちゃうんですよね。防御力が高くて、思うようにダメージが通ってくれない。

 

……翠蓮以外は。

岩清水の槌ってこんなにつよいの? 当たれば一撃で紅こべは持っていける。逆に言うと外れるともう一ターンかかる。ずっと翠蓮が殴ってくれないと3ターンくらいかかる。

もうほとんど翠蓮に頼りっきりです。他の三人は完全に雑魚散らしと回復役。逆に移動中の回復はもっぱら翠蓮がやる、というような感じで進みます。

 

火竜・太刀風のスロットに目がくらみ、入り口あたりを急にウロチョロしたくなるプレイヤー。違うんです、どんどん登りたい気持ちはある。

でも、翠蓮以外の攻撃が通りづらいんですよね、まあゆっくり進めばいいだろうとも思ってました。

 

あと、あとですね。迷子になりました。

……ええ、分かっています。お前こんな簡単な道で迷子になるってありえるのか??みたいな。ありえませんよね、分かります。

でも迷子になったんだよ!!!!!! ほっとけよ!!!!!!!!!

 

~図解・なぜ私が迷子になったか~

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これが大江山・前半の略図です。大江山は二合目から四合目まで、二つの道に分かれています。そして一本が次の合目へ、もう一本が宝物のあるエリアへとつながっています。
ただ!!!僕は当時この構図を知らなかったんですよね。正確に言えば、この構図だと思っていたけど確信していたわけではなかった。「思ったよりも単純な構図だった」ここに罠があると思います。

多分三合目のこと。何か勘違いしたと思うんですけど、二股になっている道の片方が「宝物」のエリアである、と思ってしまったんですよ。多分同じマップが続いたからチェック済みだと思ってしまったのかもしれませんね。それが四合目へと続く道だった。そうすると何が起こるかというと、「四合目へと続く道」だと思って進んだ先に「宝物」があるんですよ。これはどうしたことかと。両方が宝物の道だと思ってしまう。

ここで、何か勘違いをしているのではないかと思い当たりました。大江山は一本道だと今まで思ってきたけど、ほんとはそんなことないのかもしれない。とりあえず一合前まで戻ってみようと、そうなるわけです。

そうすると、もう一本続いていた道が正しい道なのかもしれない。となるわけじゃないですか。二合目のもう片方の道まで行きます。するとそこにはやはり宝物。

あっれれー。おっかしいぞー。

やっぱり二合目の道をどこかで間違えた?両方とも行き止まり……。一回もう一つ戻ってみたら何かわかるかもしれない。ちょっと戻ってみよう。

 

 

なんか、入り口につきました。

 

……んん????

いや、大江山って一族それなりの覚悟をして突っ込むわけじゃないですか。特に強い敵と何度もぶつかって力の差は感じながらも、少しでも前に進もうとしてるはずなんですよね。

……穣、方向音痴説。

いや違うって!!!!!これ絶対みんな迷子になるんだって!!!!

洞助はなんか若干笑ってるけど文句言わないでついていってそう。翠蓮は何も考えないで歩いてる。楓は「兄さん!!!なんで迷ってんだよ!!!」とかぶつぶつ文句言ってそう。でも穣はいたって真面目に進んでるんですよねえ……

 

穣「……あれ」

翠蓮「ここさっき来たね?」

楓「さっき来たも何も入り口だよ……兄さんマジで何やってんだ」

洞助「まあまあ」

楓「まあまあじゃないんだけど!」

穣「うわごめん……」

 

みたいな。

で、間違えたことに気づいた一行(僕)、踵を返して山を登り始めたんですけど、如何せん時間がない。かといって敵をよけ続けて道を歩いて時間を消費し続ける事にも意味を感じない。ということで、とりあえずお目当ての太刀風か火竜のどっちかが出るまでは紅こべエリアで戦うことにしました。

結果的に戦えたのは悪羅直前あたりまで。手に入れられたのは、火竜の巻物。

そして、今回一番の戦果と言えるのが、お地母の巻物。ここにきて、一族最初の交神相手、お地母の木実様の名を借りた術の巻物を手に入れました。そして奇しくも、穣はその直系の子孫、祖母にあたります。

まあ、迷子っていうのもあるとは思うんですけど、ここで穣は大事な何かに出会えたのかもしれないかなあと思います。

 その月は、大江山を終合目まで登り切ることなく、時間が尽きました。戦果を得るための進軍が結果として戦果を得られなくなったので、戦果を得るための戦闘にシフトした一行。まあ、仕方ないかなと思っています。

 

 

そして、家に帰ってきた一族。晩年を二人の娘と過ごすことを選んだ菊梧の、その最期が目前に迫っていました。

 

 

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真垣 菊梧

享年 一年九ヶ月

1019年 3月 真垣 琳太郎と椿姫ノ花連様の子として誕生。

1019年 7月 白骨城への出陣。恨み足打倒。死に瀕する。

1019年 8月 九重楼への出陣。死に瀕する。

1019年 9月 双翼院への出陣。

1019年 10月 鳥居千万宮への出陣。稲荷ノ狐次郎打倒。槌の指南獲得。

1019年 11月 九重楼への出陣。七天斎八起打倒。

1020年 1月 双翼院への出陣。

1020年 2月 九重楼への出陣。タタラ陣内様を解放。

1020年 3月 洞助に訓練を授ける。

1020年 5月 双翼院への出陣。

1020年 6月 白骨城への出陣。恨み足打倒。

1020年 7月 鳥居千万宮への出陣。

1020年 8月 夏の朱点童子討伐隊選考試合に参加。優勝を飾る。

1020年 9月 陽炎ノ由良様との交神。芹香・すすきを儲ける。

1020年 11月 すすきに訓練を授ける。

1020年 12月 芹香に訓練を授ける。永眠。

 

本当に信じたくない。菊梧が死ぬなんて考えられないです……。

いえ、でも、当家で最も死に瀕したのが彼なんです。菊梧は本当に話したいことが多すぎて困る。

 

まず彼は、一族初の槍使いとして生まれ、誰からの訓練も受けることのできなかった子でした。そして、葵が当主としてまだ落ち着いておらず、あまり余裕がなかったこともあって、結果的に放置されていた感があります。もちろん千種、山茶花梵天丸の三人がフォローに回ってはいたと思いますけどね。それでもみんなが出陣してしまえば、家に残るのはイツ花と自分の二人だけでした。きっと寂しかっただろうな。それを得意の「逆さ言葉」で、「いや、俺は寂しくなんてない」って敢て口に出すことで我慢していたんだと思います……。

余りにも健気で、あまりにも悲しい生き方を、こんな小さい頃からしているんですよね……。

 

そして、白骨城での死闘。葵の最後の出陣において、菊梧は恨み足の凶刃に倒れました。初出陣で、彼には大きな恐れが植え付けられてしまった事と思います。そして、翌月に続く九重楼でも大きな怪我を負い、二ヶ月連続で生死の境を彷徨いました。

でも、彼は生き延びたんです。生来の強靭な意思と、生命に対する執着でもって。その底力こそが、梵天丸の心を動かし、九重楼での出陣を決めさせ、またそこでもなお生きて帰ってみせた。そこが彼の何よりの強みだったと思います。

そんな彼が、一歳九ヶ月も生き続けた。これは現時点で最長記録です。彼が誰よりも長く生きてくれた。こんなことってありますか……?

 

もちろん戦闘面でも、菊梧は唯一の槍使いとして、他にはない役どころを持っていました。火力はそこまででもなかったので、痒い所に手が届くように敵の頭数を減らしつつ、術師としての活躍がメインでしたね。ここでも彼は、主役ではなかった。ただ、「菊梧の役割」をしっかり自覚した、仕事人でした。

 

ただ、彼は初陣・第二陣の経験から自らの弱さと向き合うことを強いられ続けた。これが彼の何よりの強さであり、何よりの魅力だったんだと思います。その芯に籠める思いが、由良様の心を動かし得るものだったのかなあって。そして、その生命力が双子へとつながっていく、と。

ほんとに困ってるんだからね!?!?!?!?!回んねえよ六流!!!!!!!!

冗談はさておき、菊梧は二人の子、芹香とすすきに、自分が家に来た時からあった職業と、最も新しく指南書を手に入れた職業の二つをそれぞれ渡しました。未来と過去をそれぞれ託した、と思うのは言い過ぎかもしれません。でも、自らの手で槍使いの未来を切り拓いた彼にとって、また同時にその孤独さを誰よりも実感した彼にとって、過去も未来も等しく大事なものだったことは想像に難くありません。

 

「おまえなら やれる」って

先代に励まされたもんさ。

…だけど、俺には できなかった

それでも俺は、懲りずに言うよ。

「おまえなら きっとやれる」

ああ、信じてるとも

 

泣きました。リアルで。……こんな、こんな素敵な言葉を、最後に娘たちに、そして一族に残すなんて。

一族でも一番の長寿で、誰よりも孤独だった彼は、誰よりも自分の役目に敏感でした。

そしてその姿は、娘二人は勿論のこと、直々に訓練をつけた洞助や、人間の在り方として常に菊梧を目標としてきた穣には特に強く焼き付いたのかなと思います。彼は、みんなの兄貴であり、不達を悔いるはずのその言葉にすら、希望を込めました。「先代」っていうのはきっと梵天丸のことだと思います。菊梧の可能性を誰よりも信じていた梵天丸に一番希望を貰ったのが彼だったなら、その言葉を渡してあげて一族に希望を与えるが、菊梧の最期の役目でした。

 

 

 

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菊梧、お疲れ様。