垣根の垣根の百物語

PSP俺屍Rの自分の一族とか某inb氏の一族の話とか ネタバレあります。

表裏 ~1023年 三月~

……さて。三月です。少し長くなります。

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床に伏せる尚武に声をかけてくれてるのかな。それを実梨と一緒に体を起こして見るのかな。二人とも、かなり呪いが進行していますから。ゆっくりとした時間を過ごしているのかな。
……つらいつらい思い出を抱えた二人です。少しでも休んでほしいね。

 

嘆いてばかりいても仕方ありませんね。今月は実梨の子供がやってきます。

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何を考えてるのかわからない子なの……だいじょうぶなのか……?紅葉とおんなじこと言われてるし……。

いや、でもほら見て!男の子!!!!しかも双子じゃない!!!よかったーー!!!

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……あの。あのあのあの。まさかその文字を再び見ることになるとは。

信条・棚ぼた待ち。 忘れもしません。翠蓮と同じです。翠蓮とは全く似ても似つかないような子ですが。どうしたって考えちゃうなあ……。似てるところがあるのかなあ。心風たっかいしなあ……。でも心土も高いし、本気で棚ぼたをじっと待ってるのかな。それはそれで面白いけど。物静かな性格なのかな。感情の起伏を表に出すことが少ないと思います。火と水が低いし。それはきっと実梨に似たのかなって。

まあ、何考えてるのかわからないし変な子っぽいので、そこのところは紅葉と気が合いそうなんですけど。

 

素質ですが!!!言うほど強くは、ない!!!でもね、体風と技水が高いんですよ。竜神刀を装備するって考えたときに、早くに動いて邪魔な奴を一撃で仕留めてくれるんなら、十分心強いです。(まあでも、諸事情により竜神刀を使い続けるかは怪しいんですけど……)

いやもう書いてありますけど、迷わず剣士にしました。理由はいくつかありますけど、とにかく剣士顔だったこと、穣から続く剣士の血脈を切りたくなかったこと、実梨の生きた証を残したかったこと。そんな感じです。

名前ですが、もう書いてありますね。穣、実梨と続きまして。この子もまた、同じ土髪の子です。というより、カラーリングは完全に実梨と同じ。紛れもなく実梨の子って感じの子だったので、似た意味の名前をつけたかったんですよ。

だから、垂穂(たるほ)としました。稲穂が実り、重くなって垂れる。そこに籠められた願いは、一族の発展。穣、実梨と同じ願いです。一族を支え導く一人になってほしい。

で、この子が家に来たらまずやりたかったことがあったのです。……それは、刀鍛冶。剣福さん、実梨の時は高すぎて手が出せなかったんですよね。ということで、垂穂の為に刀を鋳造してもらうことにしました。

どういう名前にしようか。考えました……。その名前ですけどねえ……刀っぽい名前とか全然知らない。どういう名前を付けたらかっこいいのかな。しばらく悩みました。垂穂の名前より悩みました。それもどうなのかと思うけど。

 

決めました!!!!!やっぱりね、五穀豊穣を祈る名前であってほしいと思いまして。

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銘は新嘗(にいなめ)。これから先、この一族の幸多からんことを願い見守る継承刀です。何はともあれ、なりふり構わず、色々な事に苦しみながらも前に進んできた真垣一族です。ただそれも、ひとえに最後に掴む幸せのため。自らの責に苦しみ、もがき、自己とのはざまに溺れるのも、全てはその幸せを強く意識するからなのです。

ともすればこれは呪いのように一族を縛り付けるようなもの、ちょうど馬の目の前にぶら下げられたニンジンのようなものなのかもしれません。でもそれは今までと違って与えられたものではなく、一族自らが残すと決めた銘です。ただ、その幸せのために。

 

 

さて今月!!!春の選考試合の招待が来まして。喜び勇んで参加しようと思ったんですよ。ぎりっぎりで気づきました。待てよと。ここ、普通に負けかねないのではないかと。

いやほんと、気づいてよかった。大江山ですら割とぎりぎりで越えたメンツなんですよ。そして、今月の討伐隊は必然的に志穂・菫・茜・紅葉の四人です。時が経って京の戦士も力をつけてきています。何をどう考えても初陣の子を当てていい相手ではない。

参加させたい気持ちをぐっとこらえて、今月は討伐に出ることにしました。もちろん垂穂の訓練は、実梨に見てもらいます。尚武も一緒。

ところで、菫の忠心がやばいんですよね。いや、前回もやばかったんですけど。心火と心風がめちゃ高いし、拳法家の性質上標的がぶれるし。茶器を片っ端から菫に上げてる気がします……。

さて、どこにしようか……。というところで。イツ花が真剣な面持ちでの報告を。新たな迷宮が多数出現したとのこと。いや、出撃するか否か……結構迷ったんですけど。結論。怖いのでやめときました。

 

選んだのは相翼院。まあ、安心かなと思って。そしたらなんか赤い火が三つもあるし!!!!なんか後で知ったんですけど、大江山越えて次の出陣、確定で赤い火が三つ灯るらしいですね!!!!知らんわそんなん!!!!びっくりするじゃろが!!!!!

 

……と言ってもですね。どこにいったとしても最大限に有効活用するのは難しかったかもしれません。まあ、春菜取るとかいろいろあったのかもしれないんですけど。なんでかって、紅葉は初陣です。あんまり軽率にボスとか戦ったら絶対に殺される。そんなところにいきなり突っ込むわけにはいかないんです。……九重楼が良かったかなあ……。

というわけで。奥に進むわけにもいかず、ひたすらその辺のカッパを切り伏せて終了しました。戦果?まあ、そうですね。なかなかの戦果だったかもしれません。

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上杉胴上杉胴上杉胴上杉胴。

鹿角兜鹿角兜鹿角兜鹿角兜鹿角兜鹿角兜鹿角兜鹿角兜。

いやもう当面防具買いません。

 

さて。家に帰って、迎えるべき瞬間を迎えます。

尚武。彼の今際の選択を聞かねばなりません。……まあ、もう決めてました。

次の当主は、志穂です。

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まあ、ね。菫も考えました。一族全体のオカンになってくれるのも悪くないなって。でも、志穂にはちょっと注目してたことがあるんです。何度も触れているところではありますが、素質では心火が最も高くありながら、実際は心水が最も高く育っている子だということ。自分を律する力、一族がどうあるべきかを冷静になって見据える力に長けた子です。まあ、風流力に満ち満ちている、最初から「当主志穂」とかやらかしている、とかいろいろあるんですけど。決め手はこれ。さすがに双子のどっちかを当主にするのは気が引けましたし、垂穂にいきなり任せるのはもっと気が引けました。

 

よろしく、志穂。これからも真垣一族を支えてくれ。

 

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真垣 尚武

七代目 真垣 琳太郎

享年 一歳七ヶ月

1021年 8月 真垣 洞助と木曽ノ春菜様の子として誕生。洞助に師事する。

1021年 9月 洞助に師事する。

1021年 10月 相翼院への出陣。

1022年 1月 鳥居千万宮への出陣。稲荷ノ狐次郎・九尾吊りお紺打倒。

1022年 3月 春の朱点童子討伐隊選考試合に出場。優勝を飾る。

1022年 4月 九重楼への出陣。

1022年 5月 相翼院への出陣。片羽ノお業打倒。

1022年 6月 七代目当主就任。

1022年 7月 白骨城への出陣。恨み足・右カイナ・左カイナ・大江ノ捨丸打倒。

1022年 8月 夏の朱点童子討伐隊選考試合に出場。優勝を飾る。

1022年 11月 九重楼への出陣。太刀風五郎・雷電五郎打倒。

1022年 12月 大江山への出陣。痩せ仁王・太り仁王・石猿田衛門・朱点童子打倒。

1023年 2月 春野鈴女様との交神。

1023年 3月 永眠。

 

尚武は、山越えをした、というただそれだけのことではなくて、一代にして山越えのための準備・それまでの障壁となる大鬼たちの討伐を全てやってのけた男、という印象です。彼が翠蓮からしっかりバトンを引き継いだことで、彼のスタートダッシュはその早い段階から大江山を強く意識したものになっていた。

一族の中で、槍使いという存在はしばらく間が開いてしまい、その戦闘技術は口伝されることが無かったものでした。そんな手本とするべき存在のない尚武は、手本とすべき偉大な人間が存在していながら、その才能のギャップに苦しむ実梨とは好対照をなして居ました。しかしまた、彼が最も多くの時間を共に過ごしたのも、実梨なのです。それは洞助によるところが強いでしょう。洞助に似て、一族のことをよく考える優しい男でした。実梨と長い時間を過ごし、お互いに無いものを分かり合った上で、お互いを支え合える存在になりました。しかし、彼を待ち受けていたのはつらく、苦しい現実。

 

……しかし。

 

——転んだら 立ち上がればいい。

  ただ、それだけだ……

  難しくはない

 

尚武の心は、しっかり前を向いていました。ずっと、ずっとその先を見据えて。全く諦めずに、ただやるべき事だけを。

なんというか、少し琳太郎に似ていますね。自分のやるべき事が見えてる。ただ、彼よりは地に足がついてきたかなという感じがあります。しっかりやれることをやる。彼はそんな男でした。……ほんとうに、ありがとう。

 

そして。もう一人。立て続けでしょうか。きっと立て続けなのかな。尚武が逝ってすぐ。彼をずっと、ずっと支えてきた人の最期。

 

 

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真垣 実梨

享年 一歳十一ヶ月

1021年 4月 真垣 穣と八葉院蓮美様の子として誕生。洞助に師事する。

1021年 5月 洞助に師事する。

1021年 7月 九重楼への出陣。七天斎八起打倒・解放。

1021年 10月 相翼院への出陣。

1022年 1月 鳥居千万宮への出陣。稲荷ノ狐次郎・九尾吊りお紺打倒。

1022年 3月 春の朱点童子討伐隊選考試合に出場。優勝を飾る。

1022年 5月 相翼院への出陣。片羽ノお業打倒。

1022年 7月 白骨城への出陣。恨み足・右カイナ・左カイナ・大江ノ捨丸打倒。

1022年 8月 夏の朱点童子討伐隊選考試合に出場。優勝を飾る。

1022年 10月 九重楼への出陣。

1022年 12月 大江山への出陣。痩せ仁王・太り仁王・石猿田衛門・朱点童子打倒。

1023年 1月 おぼろ幻八様との交神。垂穂を儲ける。

1023年 3月 垂穂に訓練を授ける。永眠。

 

実梨は、穣と全く同じ特徴・前世は力士の子でした。親子で全く同じ。二人は同じ魂をもつ同一の存在の片割れ。表裏の存在でしかないものでした。それに気づいた蓮美様が、彼の名前を強く意識した名前を授けたのでした。

しかし、魂とそれに神が与えたもうた天分はまた別の話です。五代目当主として一族を引っぱってきた穣の影。そして、実梨に先んじて剣士として勇名を馳せ、その名を奥義として残した楓。二人との比較は、常に実梨の頭の中にあったのではないかと思います。特に実梨は若いうちは出陣機会に恵まれず、家にいることが多かった。その中で、彼女は自分の才と戦い続けることを強いられた。ただ、彼女はそこまで簡単な剣士で終わりませんでした。

真砂の太刀。竜神刀。双方とも、彼女の力をいかんなく発揮する名刀です。実梨自身の力及ばずとも、使い手に彼女を選んだ刀は多くありました。そしてその力をもって、幾多の鬼を切り伏せていったのです。相棒の尚武とともに。

これは、翌月見た情報ですが。実梨は実は、現時点で戦勝点を最も稼いだ一族となりました。そして、二位は尚武。自らの才などという細かいことに惑わされず、ただ目の前のやるべきことをこなしていった尚武。そして、その彼を支え続けた彼女だからこそ。実績という形で武勇を示したのです。若き日に出遅れたことなど問題にもならない程の、幾多の修羅場を乗り越えてきた実績だけが、彼女の証明でした。

そして、それは尚武からの厚い信頼にも表れていたのでしょう。先達に恵まれなかった尚武と、才に恵まれなかった実梨。互いのないものねだりが、羨望が、互いを強く信頼せしめたのでした。

 

……そんな、尚武と実梨。二人を絶望に叩き落した朱点。尚武は、それでも前を向く力を見せてくれました。きっと、才と戦い、乗り越えて見せた実梨を見てきた尚武ならではの言葉なんだな、と。そう思いました。

そして。

 

 

―—こんなあたしに バチが

  当たらないのは、神様なんて

  本当はいないって 証拠かもね……

  じゃなきゃ、朱点のほうが

  きっと 神様なのよ……

 

 

……実梨は、もしかしたら折れてしまったのかもしれません。ここまでずっと、ずっと頑張ってきて。

本当につらい。僕も泣いてるし、きっと実梨も泣いてる。尚武にはきっと言えなかったんだろうなあ。尚武がいなくなってから、きっと垂穂にこれを言うわけにはいかなかっただろうし、ぽつりと、然し本心を、志穂や菫にかな。あの絶望を共有した子たちに、こぼしてしまったのかなって、思います。

 

にしてもつらいよ……こんな悲しい言葉ある……?

だって、実梨は何も悪くないじゃん。バチがあたることなんて、何もないじゃん。大江山で朱点の正体を暴いたじゃん。そこで一番火力をたたき出したのは実梨なのに。それでも、自分を責めるなんて。どんなにつらい思いをしたか。どんなに悔しかったか。

もういいんだ。バチなんか当たらないから、ゆっくり休んでくれ。尚武も、実梨も、一緒の所にいられるから。本当に、お願いだから。

 

 

 

 

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二人とも、本当にお疲れ様。向こうでも、二人仲良くね。