当主の重み ~1021年 七月~
七月です!!!!!
前回までのあらすじ。お紺戦で翠蓮が寝こけている間に楓が双子と一緒に何とか倒しました。その代わりに翠蓮は三人から不信感を向けられることになってしまいました。
とても困った翠蓮なのですが……洞助の交神によって一ヶ月空き時間が与えられたので、そこでどうしたらいいか考えることにしました。
恐らくねえ……相談相手すら少ないんですよねえ……洞助か、イツ花か……実梨はまだ家に来たばかりですし。頼るようなことがあればそれこそ実梨からの信頼も失いかねません。
ということで、おそらくは洞助に相談したのだと思います。そして、今回も主役は洞助です。
チーム洞助?いいえ、チーム楓です。
……もし当主への不信感がぬぐえないのならば、自分が隊長になってその責務を認識してもらおうじゃないかと、そういう算段です。
隊長・楓。お目付け役、つまり楓が苦労して成長できるようになるための人として洞助が二番手につきます。そして、出来れば芹香とすすきの両方を連れて行きたいところなのですが……そろそろ実梨を育てたいので出てもらいます。そして最後に、ここは姉を説得した方が良いだろうということで芹香。
すすきは家で翠蓮とゆっくり話をすることに主眼を置きました。
……ところで、今月は芹香とすすきが元服する月です。二人は特に交神に関しての望みは口に出しませんでした。今は翠蓮に何を伝え、何を伝えざるべきかは二人も悩んでいるところなのかなと思います。
これからの出陣の主な目的は迷宮の最奥にいる鬼の討伐なのですが、流石にこの四人でそれをするのは無理です。したがって今回の目標は、
1.最奥まで出来るだけスムーズにたどり着ける体制を整えておくこと
2.実梨を鍛えること
です。次に行きたいのが相翼院(五郎ズに勝てる気はしない)ことから勘案しても今回のうちに九重楼へ行っておきたいのが『僕としての』考え。
みんなとしてはどうなんでしょう。まあ、今年行ってないし、みたいな感じかな。
ということで彼らは九重楼へ。出てくるのはいつもの七天斎八起さん。
いつもと違うのは、朱の首輪が止まったこと。
いつも通りなのは、瞬殺なこと。
七天斎八起をゲットしました。
まあ楓も芹香も眉一つ動かさないだろうなあ。弱い敵の解放だし、是ごときで手柄だとは思うまい。楓なんかは特に、翠蓮に厳しいのと同じだけ、自分にも厳しい人間です。
そこからはガンガン戦っていくんですけど、実梨は体の水の伸びがいいですね。
素質再掲しますと
これなわけで、まあもともと高い素質なんですけど、300を超える事が予想される勢いです。前回お紺戦で全体攻撃で一族が半壊したことを考えると、大事なんですよね、体力の絶対量。惜しむらくは女剣士ながら最も伸びがいい技素質が火。当然益荒男刀は装備できず。あんまり活かすタイミングがないかもなあ。
ってなことを考えながら九重楼を登り、目的通り最上階までのショートカットを作りました。で、あとは鍛えるだけなんですけど……。
僕、自慢じゃないけどゲームの操作割合得意なんですよ。くらら抜きで背後取るのとかもそんな難しくなくて。でもなんか、なんでなんでしょうね。初めてのことでした。
黒ズズに背後を取られたんですよね、このタイミングで。
それ自体はそこまで大したことないかなと思いました。体素質も実梨はそこそこ育ってるので前衛に出してましたし、面倒な攻撃は体力多めの洞助が受けてくれました。
でもそこじゃないんですよね。問題は、「隊長をやってみる」という試みの場にあり、基本は何でもできる楓が、今まで一族が一度も喰らわなかった背後からの奇襲を貰ったというところ。当然慌てます。誰だって慌てる。もしかして洞助は、こういうことが起こり得ると思って、翠蓮に今回の編成を進言したのかもなあと思いました。
「無事」に討伐は終了。ただ、楓は、そして芹香も、ようやく一族の中に「当主の重み」が伝わってきたのかもしれないなと、そう思いました。