垣根の垣根の百物語

PSP俺屍Rの自分の一族とか某inb氏の一族の話とか ネタバレあります。

天分 ~1019年 八月~

修羅場!修羅場!!修羅場!!!って感じの当家一族です!!今月も始まります!!!!

 

 

悪夢のような七月。白骨城・アシゲの祭壇での決戦で、菊梧が生死の境を彷徨いました。

極めて幸運にも、菊梧も、そして葵も先月を乗り切る事ができ、八月がやってきます。

しかし、屋敷の中はさぞ暗い空気が漂っていることでしょう……

自分を責める葵、力不足を痛感する菊梧は勿論のこと、他の三人も今月の方針を葵に伺いかねています。正直、私としても迷いました。何についてかというと、菊梧の出陣です。

 

菊梧は、実戦部隊入りから二ヶ月の間留守番を食らっています。健康度が下がっているとて、今月を療養に充てれば、少年期六ヶ月のうち、実に半分を屋敷で過ごすことになる。仮に交神が挟まると四ヶ月。さすがに看過しづらいものがあります。

しかし、ここには問題が二つあります。一つは、菊梧はまだ一回しか出陣しておらず、もう一度戦闘不能になりかねないこと。今度こそ死にかねません。

そしてもう一つ、葵は絶対に菊梧の出陣に反対するということ。

葵は前回の出陣、自分のわがままで前へと突き進んだ結果、菊梧を瀕死にさせたことをひどく気に病んでいます。今月は葵は自宅療養ですが、当主として、姉として、一族が死にかねないようなことを認めることはないでしょう。

 

また、これとは別にもう一つ、今月の隊長を誰にするかという問題もあります。

順当に行けば千種なのですが、頼りがいの面で言ったら山茶花の方が上でしょう。千種は自分がかっちりする役どころになると、彼女自身が暗くなってしまうことを危惧しているようにも思います。

 

今月の隊長は、次期当主に選ばれるでしょう。それも踏まえて考えました。ふさわしい人物は誰か、その人はどのような采配をするのか、それを葵は許すのか。

そして、決めました。

 

今月の隊長は、梵天丸にしました。

 

理由はやはり、菊梧の存在。彼を今月療養させているようでは、彼はいつまでも一人で戦えるようにならないこと。そして、もし葵の反対を押し切れるとすれば、それは梵天丸以外にいなかったこと。何より、自分の力不足を痛感している菊梧の気持を最も分かってあげられるのは、才能ある姉の裏で悔しい思いをしてきた梵天丸だろうと思ったからです。

 

ここの一幕は、いずれ小説として上げたいと思っています。

梵天丸は、葵に菊梧の出陣を申し入れます。勿論葵は許しません。千種も、葵の味方として、また家族を失うのを最も恐れる自分として、強硬に反対します。菊梧は、ただうつむいているでしょう。山茶花は、何を考えているでしょうか……。

梵天丸には分かっています。自分たちの分が、「死ぬまで戦うこと」であることを。そして、死を恐れて強くなれずに犬死にするようであれば、それこそ大切なものを見失ってしまうことを。

彼は言います。「俺が必ず、菊梧を生きて連れ帰る」

そして、葵は梵天丸を、そして菊梧を信じます。千種は泣きそうな顔をしていると思います。山茶花は、終ぞ一言も話しませんでした。

 

そして一方!(一方というには憚られるほど当家は地獄のような雰囲気なのですが)

とうとう葵の子供が当家にやってきました!ご紹介いたしましょう!

f:id:miriking-writing:20181212162958j:plain

こちら、穣(みのる)です!!!!!

バチクソイケメン!!!!!!!!!!めっちゃ真面目そう。力強さも感じる。この子絶対竹刀振ってそう……。カラーリングが変わるだけで受ける印象がまるで違いますね。色によってはもう弓使いにしか見えないのですが……僕にはもう彼は剣士以外に考えられませんでした。

即剣士に決定。素質に関しては、右京様の遺伝子を受け継いだなかなかの技土の持ち主(まあ真砂の太刀は装備できないんですけど)です。そしてなんと、特徴「前世は・力士」。これはもう持ち前の意志の強さがうかがえます。心火はそれほど高くなかったので、そんなに強気な子ではないのですが、葵譲りの気丈さ、右京様譲りの頑健さが魅力と言えそうですね。

しかし彼を迎え入れた真垣家は地獄……いつもは明るくする役目の千種が相当に落ち込んでいますので、誰も明るくしてくれない……。

ただ、葵は納得して菊梧達を送り出すことになるので、皆が出陣した後の当家ではそこまで暗い雰囲気が漂うこともないはずです。(本当に良かった)

当然、葵に師事してもらいます。親子で過ごす唯一の月。そのすべてをたたき込んでほしいものです。

 

必然的に、今月の討伐隊は梵天丸・千種・山茶花・菊梧の四名。隊長は梵天丸にしました。

今月は夏の朱点童子討伐隊選考試合があるのですが、流石にこれに菊梧を連れて行くわけにはいきません。間違いなく死にます。だから、苦しいながら今年も参加を見送ることにしました。

向かう場所は九重楼。ローテーション的に決めた気がします。狙いとしては残った巻物。そして、どこまで登れるかは分かりませんが、もし行けるのならば拳の指南です。

f:id:miriking-writing:20181212165228j:plain

菊梧には、しばらく成長するまで防御に徹してもらい、特に千種のブンブン刀に頼って進んでいきました。

無理はしないが手控えることはしない、そんなつもりで突き進みました。

そして、拳の指南を敵が落とす階層。九重楼・五階、紅こべエリアでのこと。

大量の山ワラに囲まれ、菊梧への集中攻撃。かばう間もなく、彼は倒されました。

完全に僕のプレイミスですね……。この時は本当に絶望しました。せっかく生きて帰ってきてくれた菊梧を、僕がみすみす殺してしまうのかと。

 

そして、帰還。息も絶え絶えとなった菊梧を梵天丸が守りながら、しかし討伐は炎が尽きるまで戦い続けました。目標に据えていた拳の指南も獲得できませんでした。マジで何の言い訳もできない……。葵に折角梵天丸が生きて帰すことを誓ったのに……。

 

そして、倒れる葵。彼女はボロボロの菊梧を見て、絶望したでしょうか……。

 

 

 

       f:id:miriking-writing:20181210213841j:plain

真垣 葵

二代目 真垣 琳太郎

享年 一歳八ヶ月

1018年 4月 鳥居千万宮への出陣。

1018年 6月 九重楼への出陣。

1018年 8月 白骨城への出陣。

1018年 9月 双翼院への出陣。白浪河太郎様を解放。

1018年 10月 鳥居千万宮への出陣。

1018年 11月 九重楼への出陣。七天斎八起打倒。

1018年 12月 双翼院への出陣。槍の指南獲得。

1019年 2月 鳥居千万宮への出陣。風車ノお七様を解放。二代目当主就任。

1019年 3月 九重楼への出陣。七天斎八起打倒。やたノ黒蠅様を解放。

1019年 4月 双翼院への出陣。

1019年 5月 鳥居千万宮への出陣。稲荷ノ狐次郎打倒。

1019年 6月 黒鉄 右京様との交神。穣を儲ける。

1019年 7月 白骨城への出陣。恨み足打倒。

1019年 8月 穣に訓練を授ける。永眠。

 

葵ちゃん。彼女は最初から琳太郎の遺志を継ぐものとして、彼に負けぬ立派な当主になるべき存在として、脇目もふらず駆け抜けてきました。

数ある鬼の巣窟、大江山以外のすべての場所で大きな鬼を討伐して回ったのは彼女です。琳太郎様を越える活躍を、立派に果たしたと言えるでしょう。

ただ、常に無理をしているも同然だったので、常に甘えられる存在を求めていたのは確かだと思います。父の幻影を求めていたのかもしれません。

そんな中、黒鉄右京様の懐の広さに救われた側面は、間違いなくあると思います。父とは違う温もりを得ると同時に、父を一人の先達として、他者として見ることができるようになった彼女は、もう自分の意思で動けるようになっていたはず。

 

———迷ったり 怖くなった時は、手近な人に触ってごらん。

   それが 守るべき温もりだよ。

 

彼女の遺言です。その人生も終わろうかという時に、自分の守るべき家族を初めて強く意識できた彼女が、それをみんなに伝えようとして言った言葉なんでしょうか……。

葵ちゃんは交神の月、自分の死を身近に感じた月までずっと、守るべき家族を見失いがちになっていた子なんです。菊梧を四ヶ月屋敷に残しっぱなしになる事にも気づかなかったり(これは僕のミスなんですけど)、あまりに父の前でした決意が彼女の中で重くのしかかっていたんだと思います。自覚している以上に。そんな彼女が最後にこれを言えたのも、最後の一月の間、家で菊梧を心配しながら待っていたこと、それに、穣との初めてのゆっくりした時間を過ごしたことがあるんじゃないかな……。(実際、琳太郎が亡くなって以降、葵は交神の月以外ずーーーーっと出ずっぱりだったんですよね。心を落ち着けて何かを考えるタイミングが全然なかったのかもしれません)

 

そして、次の当主の指名。考えました。僕のミスとはいえ、菊梧を守り切れなかった梵天丸をそのまま当主にしてもいいのか。それこそ、一族がバラバラになってしまうんじゃないのか。ここの選択は本当に苦しかったです。でも、いま一人を選ぶとしたら、間違いなく彼しかいない。そう思いました。

 

     f:id:miriking-writing:20181212174917j:plain

真垣 梵天丸。彼を当家の三代目当主・琳太郎様に指名しました。

 

葵の死。一族離散の危機。当時本当に心がつらくなってたし、今書いていてもつらいです。そして、彼女が亡くなった後を見るのは、もっとつらかったです。

 

 

 

 

しかし。彼は僕の想像なんかを遥かに超えていきました。

 

菊梧は、二度も死地を彷徨いながら、立派に生き延びて見せました。

 

本当に、本当に申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちでいっぱいでした。こんなに苦しい思いをさせたのに。でも彼は、それが自分の誇りだと言わんばかりに、必死に食らいついていたんです。

一族の守りの要・槍使い。彼は自分なりに、一族初めての職業を得た自分の生き様を獲得したんじゃないのかな、と。そう思わされました。

さっきまで、死にかけた菊梧を横目に、葵は自分の決断を後悔したまま死んでいったのだろうか、という気持ちが拭えませんでした。でも多分、違うんだろうなと。菊梧が自分の生命力を見せつけたその姿に、安心して葵は去っていたんだなって。だからあんなに優しい遺言が残せたんだろうなって。心からそう思いました。

 

来月からは、梵天丸を当主として、新たな真垣家の道のりが始まります。そして、それを支える一人に、間違いなく菊梧がいます。

 

 

f:id:miriking-writing:20181213022224j:plain

葵ちゃん、お疲れ様でした。